もともと映画があり、ミュージカル舞台化され、それをベースに再映画化されるという、近年では
『プロデューサーズ』と同じ経路を辿った作品です。
ジョン・ウォーターズ監督の『ヘアスプレー』がビデオでリリースされた時に、ちょうど僕はビデオレンタル店でアルバイトしていました。そこに来ていたアメリカ人のお客さんに「音楽もストーリーも最高よ!」と勧めてもらったので素直に鑑賞。そして、驚くほど自分の好みにばっちりハマるこの作品との出会いを喜ぶと同時に、社会科の授業ではピンとこなかった人種差別について考えさせられました。
時は流れ、この作品がブロードウェイでミュージカル化されたとのニュースが。
トニー賞授賞式やアメリカン・ダンスアイドルでのベンジー&ドニエルのパフォーマンスなどでとても気になっていました。(先日ニューヨークに行った時に、最後まで迷って見逃したのがこの作品です。今思うとこれにしておけばよかった・・・)
そして再映画化のニュースが。当初は正直言ってもう映画は必要ないだろと思っていました。
というのは旧作があまりに良くできていたから・・・
しかしその意見は吹っ飛びました。なぜならこの、踊れる俳優監督
アダム・シャンクマンさんがメガホンをとった“ミュージカル映画版”が素晴らしい完成度だったからです!
まるで
『ウエストサイド・ストーリー』を彷彿させるオープニングの空撮からのズーム、カメラが降りてくるのはニューヨークではなく、この作品の舞台であるボルティモア。
もうこの時点で作品の世界にぐっと引き込まれました。
舞台は1962年。この年は
『アメリカン・グラフィティ』でカリフォルニアが、
『ドリームガールズ』でデトロイト(らしき仮想都市)が描かれています。
とにかくキャスティングが最高!
みんな魅力的で、この作品に出演したことは間違いなくキャリアにおいてプラスになることでしょう。
まずはトレイシーを演じたニッキー・ブロンスキーちゃん。とても表情豊かな子。この映画に出演するために生まれてきたかのように適役!初出演作なんて思わせない活き活きとした演技を魅せてくれました。
そのお母さんは肉襦袢をまとった
ジョン・トラボルタ。そう、かつて『サタデーナイト・フィーバー』『グリース』『ステイン・アライヴ』で観客を魅了したジョンが、ついにミュージカル作品に戻ってきてくれました。そのなりきりは期待以上。文句なしに拍手したいくらいです。
脇を固める皆様も素晴らしい。
ミシェル・ファイファー(相変わらずお綺麗。久々に歌声が!)、
クリストファー・ウォーケン(真面目に唄って踊る!)、
ジェームズ・マーズデン(眼から光線は出しません)も好演してたし、
アマンダ・バインズ、
ブリタニー・スノウの2人はすごくかわいい!!
舞台版にも出演していたジェリー・スィラーさんもいい味を出していました。息子
ベン・スティラーも誇らしいことでしょう。
ザック・エフロンはまたもやいい作品に出演しましたね。きっとエージェントが素晴らしい手腕の持ち主なのでしょう。次は『フットルース』のリメイクですか・・・はぁ。
そしてなにより
クイーン・ラティファ。もともとファンでしたが、今回は彼女の唄声に泣かされました。やっぱソウルって魂が動かされてしまうんですよね。
普段ミュージカルは見ないという方でも、ストーリー自体が面白いから楽しんで観る事ができると思います。
ミュージカルやコメディのジャンルが好きな方は、おもいっきりニヤけながらリズムをとって観てしまいましょう!
舞台化と今回の映画化の際に若干変更が入っているようですが、欲をいえばオリジナル版にあった、リンボーのシーンは入れておいてほしかったなぁ。少し思い出深いんですよ。
とにかくスタンディングオベーションしたくなるくらいのお気に入り作品がまた生まれました。
古きよきハリウッドが戻ってきたかのように錯覚してしまいます。迷わず
殿堂入り!
ヘアスプレー公式サイト
楽曲も素晴らしいです。
マーク・シェイマンさんが、またいいお仕事をしてくれました。
音楽好きな方なら、聴いていて元ネタが頭に浮かんでくるかもしれませんね。
ひたすらビール